「とらドラ・ポータブル!」感想(ネタバレ無し)
「とらドラ・ポータブル!」を一通りクリアしましたので基本ネタバレ無しで感想を書きます。
なお、「原作」とはアニメ版と小説版の両方を含めます。長文注意、長いぜぇ~、超長いぜぇ~。
【ゲーム紹介、システム】
ゲーム本編は原作小説の7巻と8巻(アニメでは19話と20話)の間、冬休み期間に繰り広げられるオリジナルストーリーのアドベンチャーゲームになります。推奨プレイ対象者は「原作ファン限定」で、原作小説かアニメを最後まで読了もしくは視聴完了している事が最低条件でしょう。現在は小説を5巻まで読み終えましたが、小説版も読了しておいたほうが更にゲームを楽しむことが出来るでしょうね。これはアニメよりも先にゲーム企画が進められていた事が大きいのでしょう。
少なくとも原作をまったく知らない人がプレイしても「説明不足」でゲームを楽しめる状況に至ることは難しいと思われます。
おまけとしてミニゲームが3本(アクション・ブロック崩し・神経衰弱)、他にCGギャラリー機能やミュージックプレイヤー機能等が搭載されています。その中でもピクチャ1枚1枚に別途音声コメントが収録されているCGギャラリーは必見です。
残念ながら私はアニメや小説を原作としたゲームをプレイする機会が極端に少なかった為、「とらドラ・ポータブル!」がファン向けゲームとして平均以上の出来なのかどうか?については直接的な比較で判断する事が出来ないのですが、単純にコンピュータゲームとして考えてみても当作品のボリュームや徹底したサービス精神は尋常ではないレベルです。
【当ゲームの魅力】
このゲームの魅力を言葉で表現すると「極めて完成度の高いファン向けゲーム」としか言いようが無い事が実にもどかしい。それでも、一度このゲームを堪能した人ならば「プレイしないのはMOTTAINAI」と力説したくなるほどの魅力がディスクに詰まっています。
当ゲームの原作との高いシンクロ率を実現した要因を簡単にまとめると下記のとおりになります。
・映像全般はアニメ準拠
・原作者監修済みの膨大で隙の無いシナリオ
・アニメキャストによるフルボイス
・ゲーム専用のエンディングが2曲そして+αが収録
私はプレイ中に「あれ?」と違和感を感じたことは殆ど無く、プレイ没入度を極力損なわせない配慮の数々や「原作ファンを喜ばせる事」に徹底した作り込みに終始驚かされる事しきりでした。
開発のガイズウェアは過去にも「涼宮ハルヒの約束」を手がけた実績のあるスタジオで、好評だった同作品のシステムをブラッシュアップしつつ、更に PSP用ソフトとして最速レベルの快適なゲーム体験を実現しています。「とらドラ!」原作とアドベンチャー形式のゲームスタイルとの相性の良さに加え、版権ゲーム制作経験が豊富なガイズウェアの開発能力も当作品の完成度の高さに貢献していることは間違いありません。
要するにゲーム開発に関わるスタッフ全体の作品愛と執念が当作品の膨大なボリュームと濃密なクオリティを両立させており、当ゲームを原作・アニメと並び立つ「もうひとつのメディア」として確立させる事に成功しています。純粋に品質を高めることのみで「出来のよいファンディスク」以上の存在に近づけてしまった訳です。
シナリオについて詳しくは書きません。
あくまでも原作とは違った「if」シナリオが複数用意されている訳ですが、アドベンチャーゲームにつきものの「あり得ないバッドエンド」であっても原作ファンならば「ニヤリ」としてしまう内容に仕上がっています。まぁさすがに何度も見ているとイラっとしてきますが(笑)
そしてグッドエンドやトゥルーエンドに到るまでのシナリオは、声優陣の演技も相まって「圧巻」の一言です。
詳しくは書きません、実際にプレイして楽しんでください。
【敢えて重箱の隅をつついてみる】
敢えて不満点を探してみました。
・3Dマップ上で各種メニューを開くことが出来ない
・3Dマップ上でダッシュ開始するまでのラグがやや大きい
・エンディング後の採点シーンで、台詞間の繋ぎが若干不自然
・一部エンディング曲で音割れが発生する
・ブロック崩しはグリップ装着時や「PSPgo」ではプレイ困難?
まぁどれも「ゲームプレイに支障を与える欠点」ではありません。
でも、全体的に完成度が高いゲームだけに、このような些細な点でも気になってくるのですよね。そして、その中でも一番残念だったのは一部エンディング曲が音割れしている事です。エンディング楽曲は既に音楽CDが発売されていますが、ソロバージョンはPSPで再生するほかに聴くことが出来ません。ソロバージョンこそがトゥルーエンドの曲ですしね。
【ゲーム難易度は適正か?】
前述のとおり当作品は「完成度の高いアドベンチャーゲーム」です。しかし、「単体のゲームとして生真面目に成立」させた事により、「ファン向けゲーム」としてのバランスが若干崩れてしまったようにも感じます。アドベンチャーゲーム慣れした人やゲーム慣れした人が根気良くプレイしないと自力で全ルートコンプは難しいでしょうし、普段ゲームを積極的にプレイしない人はお目当てのルートに到達する前に「嫌になる」可能性が実に高いのです。
私は時間の関係で最初から自力コンプは放棄していましたので、エンディングを数種類見た後は攻略本を参考にしたプレイに移行しました。ゲームプレイの目的が「アドベンチャーゲームを自力でクリアする」事ではなく「とらドラ!のif世界を満喫する」事だった訳ですからブレはありません。
この点、「原作ファンに対する誘導」という部分では若干の配慮に欠けていたようにも感じます。確かに選択肢出現のヒントも図示されていますし、エンディング後にアドバイスも提示されます。この点「アドベンチャーゲーム」としては十分に親切なシステムだとは思うのですが、「ファン向けゲーム」としてはもう一歩踏み込んで貰いたかったところです。何度も同じエンドに到達している人に対して、選択肢分岐やアイテム入手時に回避アラートが表示されたり、いっそのこと説明書に全クリアルートまでの解法が袋とじされているとかでも良かったかも。
時間や根気がある人は是非とも自力コンプを目指していただきたいのは勿論ですが、バッドエンドから脱却できずにゲームクリアを諦めてしまうのはあまりにMOTTAINAIと断言します。攻略本や攻略サイトを参考に全ルートをコンプしても当作品は十分に満喫できるでしょう。
ちなみに私は攻略本プレイで全ルートコンプするまでに30時間近くかかりました。ギャラリーも少し抜けがありますので、フルコンプまではもう少し時間が掛かりそうです。果たして自力プレイならどれぐらいの時間が掛かるのでしょうかね?
【要望があるとするならば】
個人的に「実現されていたら完璧だったなぁ」的な要素です。
・ルート保存機能
・主要キャラ全員のメインエピソード
「とらドラ・ポータブル!」における名有りキャラの満遍ない活躍っぷりは尋常ではなく、アニメ版でも数回しか出番が無かったキャラに専用ルートが存在するほどの凝りようです。最終的に容量や開発期間の問題もあったとは思うのですが、ここまで作りこんでいるのならば名有りキャラ全員の専用ルートが欲しかったところです。
【最後に】
発売されてから2ヶ月以上経過していましたし、当ブログとしては滅多に扱わないジャンルという事もあって感想を書くべきか迷いましたが、2009年7月時点で「今年最高のゲームソフト」と感じている事も事実です。正直なところ、「アンチャーテッド2」も「ファイナルファンタジーXIII」も「グランツーリスモ5」も当ゲームの満足度を上回ることが出来るのかどうか?少し不安だったりするのです。勿論、当作品は「原作ありき」の(オーキスやオーライザーのような)ゲームですし、単体で成立しているゲームと比較すること自体が的外れである事は承知ですけどね。
オールドゲーマーの端くれとしては海外ゲームや硬派なアクションを推しておいた方が無難で格好良いとも思ったのですが・・・それでも嘘や変な見栄はよくない(笑)
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